これは、私が美術関係の大学に通ってた頃の話です。
ちょっと、話が長くなるかも知れません。文章が下手くそなんですかね、内容は簡単なのですが…
その大学は古く、夜になると1人暮らしの学生が何人か集まって、お酒を飲みながら話をできる、そんな環境でした。
そんなある日、私がまだ新入生だった頃、4年生の男の先輩から(仮にAさんとします)
「デ室の話知ってる?」と、
ふいに聞かれました。
デ室とは、即ちデザイン室で、デザイン
の授業を受ける部屋でした。
「いえ、知らないです」
そう答えると、Aさんは、
「知りたい?」と、嬉しそうな表情をするので、教えて欲しいと言いました。
「 実はさ、俺の3個上の先輩に、Fさん
って言う人がいてさ。その人、今は活
躍してる人なんだけど…」
私もFさんについては知っていました。
「その人がね、ある日、ゴミ捨て場に
捨てられてた、ミッキーマウスの人形
を持ち帰ってきてね、デ室の黒板の
左横に置いたんだって。何気無しに」
そこからの、Aさんの話です。
Fさんがミッキーマウスを置いた後、授業の為、どんどん生徒がデ室に入って来たのですが、すると、その中の1人の女の生徒が、右足の付け根が痛いって、泣き出したらしいです。
周りは、大丈夫?って、心配します。
でもその痛みは、連鎖していく様に、 私も痛い、俺も、って、軽くパニック
状態になりました。
みんな、”どうしよう…” と思ってる時に
当時、Y嬢と呼ばれていた女の子が、遅れて部屋に入って来たそうです。
何故、Y嬢と呼ばれてたかと言うと、彼女は、スゴい霊感の持ち主だったらしいのです。
(今は普通に働いて、普通に暮らしているらしいですが)
彼女はデ室を見渡して、何も言わずに歩き出しました。それはミッキーマウスの人形の所でした。Y嬢は、皆が右足の付け根が痛いなどと、当然知りません。
そして、おもむろに言ったそうです。
「このミッキーマウス、右足が根元から
裏返しに縫いつけられてる。」
つま先が後ろを向き、踵が前に縫い直されているのだと言う。皆が見に行ったのですが、それは明らかだったらしく。
どうする…?と、揉め出したらしいのですが、
Y嬢はキッパリ言ったそうです。
「そく、お寺。」
”右足を直した方が良いんじゃない?”
”それからお寺でも…”
と言う声も上がったそうですが、
Y嬢は、「この人形は、自分の足が痛い事を皆に伝える為に、皆の足を痛くしたの。そして、それを直してあげたとしたら? 私達は、彼を助けてあげられないの。情けは無用。無駄に付きまとわれるだけだよ。」
そう言うと、元々、その人形を持ってきたFさんに「F君、あなたが神社に持って行くべきよ。あなたが拾った物だから」そう言って、教室を後にした。
一方、授業の為に来た教授は、教室に入って良いものやらと、入口でまごついていたらしく、(私もその教授に教わりましたが、かなり気弱です 笑)
Y嬢は「もう、大丈夫ですよ。授業をして下さい」と言い残して、去って行ったらしいです。自分も受けなきゃいけない授業だったとは言え、その部屋にいたくなかったのでしょうか?
「えぇ!ヤバくないですか!?その後、
どうなったんですか!?」
私は、A先輩にドキドキしながら聞きました。
「次の日、Fさんが、〇〇神社に持って
行ったらしいよ。」
「えぇっ!! 1人でですか!?」
すると、Aさんは笑いながら、
「だって、そんな人形をゴミ捨て場から
持ってくるような人だよ」
と、言った。
私は気味悪かったが、1番気になったのは、その人形の右足が何故、裏返しに縫い付けられていたのかと言う事だった。
そして、Y嬢の
「彼を助けてあげられないの。」と言う
言葉だった。彼とは?ミッキーマウス?
いや、違うんだろうな、と思った。
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