信号待ち

ある日、私は、車でいつも通る道で、信号待ちをしていました。ちょうど赤に変わったところだったので、横断歩道の人も青に変わるのを待っていた、そんな状態でした。横断歩道を渡ろうとしていた女性は、かなり焦ってるみたいで、
私は内心 ”トイレにでも行きたいのかなぁ” と、車から見ていました。
その後ろには、彼女の娘らしき小学生くらいの女の子が立っています。
黒髪で色が白く、顔は面長でおかっぱ頭だったと思います。
”あ、親子なんだー” と思いましたが、母親は、東南アジア系の顔立ちに、昔で言うソバージュ?をかけていました。
” 親子だろうけど似てないね〜” と、
信号待ちの私が、どうでもいい事を思いつつ、何となく見てると、
横断歩道の信号が青になると同時に、
一目散にその女性が走り出しました。
何だか必死に走っていました。まるで何かから逃げているように。
しかし、その後ろから娘はついてきていません。

あれ?娘は?大丈夫?
と思ってるうちに、今度は車両側が青になったので、車で通り過ぎる時、横断歩道を走って行った女性を見ました。
路地を覗いたり、キョロキョロしています。一瞬見ただけですが、明らかに何かに怯えながら、誰かを探している様子でした。そして女の子はいませんでした。
私はあの時、信号待ちの交差点で、何を見たのでしょうか?
そして、彼女は何故、あんなにも焦っていたのでしょうか?
それからその道を通る度に、彼女達を思い出しますが、あれからは、1度も見た事はありません。でも、あの女の子の顔だけは、今でもはっきり覚えています。

通報する

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。