私が大学時代の頃。
その大学は、かなり多くの心霊スポットが存在する県にあり、夏になると ”心霊スポットツアー” とか言って、よく皆で心霊スポットに行き、楽しんでいました。何か映るかもと写真を撮ったりなどもしていました。( 馬鹿ですね )
そんなある日、
1つ下の男の子の後輩から( 仮にT君とします) から、
「〇〇さん (私)、ちょっとうちに来ても
えませんか?」
と、言われ、 その場にいた後輩2人と3人で、彼の下宿先に行きました。
最初は4人で、くだらない話をしてたのですが、私は段々イライラしてきて、
「T、どうしたの?
何で私に来て欲しかったの?」
と聞くと、Tはおもむろに、机の引き出しを開けました。そして、
「〇〇さん、最初は右側にあったんで
す。でも最近見たら左に移動してて。
しかもコレ、鬼の顔に見えません?」
T君は少なからず、私がそう言うモノが分かると知っていたらしいのです。
私自身としては、自分に起こってた不可思議な体験にでさえ、理由付けられなかったのに。
ただ、誰かの何かには、感じたりしました。良い。悪い。何となく、こうしたら?と言うアドバイスとか。
そして、写真を見せてもらいました。
後輩が2人、楽しそうに映っている左側に、能楽に出てきそうな、おでこから2本、角がはえてる鬼のような白い顔がありました。それを見て、
「ねえ、あんたさ、イヤな事とか起きて
ない?」
そう、私は聞きました。
するとT君は、
「ありましたよー!
彼女が風呂場でのぼせて倒れたり、
その後、病院にも行ったんですよー!
俺も事故りそうになったり…
あれは、ヤバかったっすよ。
〇〇さんも、俺の車見たでしょ?」
「で、今は?」
「今は、何ともないです。
ただ、気になってたし、気味悪かった
から、〇〇さんに、前から見てもらい
たかったんですよ。」
私はその話を聞いてから、
マジマジとその写真を見ました。
” 最初右側に… 、今は、左側に…”
その時、分かったんです。
その鬼は、常に左側を向いている。
だから、右側にいる時は、写真に写っている後輩達に向けて睨んでいる事になる。でも今は、左側。即ち、写真の外に向いて睨んでるのです。
あー、なるほど。
そう思ってると、
「〇〇さんに、見せて良かったです」
と、意味の分からない言葉が、T君から返ってきました。
” 写真についての話は、あまりしない方が良いだろうな。しかもこれは、あくまで素人の意見だし… ” と、思い、
「 お寺で焼いてもらったら?」
と、提案しましたが、何故か彼は、
「イヤ、机の奥にしまっときます。」
そう言って、その写真を元の引き出しの左奥にしまってしまいました。
その後も、彼は写真を燃やす事は無かったみたいで (その後、何度も聞いたのですが ) 。
” 何で、お寺で燃やしてもらわないのかな?” と言う、私の中の疑問だけが残りました。
何故、気味の悪い写真を捨てきれずに、彼はずっと持っているのでしょう?
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