母の声

これは、他県の大学から実家に帰って来た時の話です 。
(他県にいた時の、不可思議な体験は、また別の機会に話します)
その時、私は居間でテレビを観ていました。
母が、台所の方から、
「ちょっと買い物行ってくるわ。電池切
れで、この時計止まってるみたい。」
「分かったよー」と、私はテレビを観ながら適当に相槌をうち、そして母は出かけたようでした。
それから私は、暫くして、自分の部屋に用事がある事を思い出し、2階の自分の部屋に行きました。自分の部屋にいると
母が帰ってきたようでした。
「ただいまー。
あれ? 〇〇 (私の名前) ー!
何処いるのー?」
2階にいた私にも聞こえたのですが、
何故か「2階にいるよー」と、答えられませんでした。何だか、答えてはいけないような気がしました。
私は、そーっと階段を下り、玄関を見ました。母は、車で買い物に行ったはずなのに、車がありません。
え?と思い、私はまた、そーっと自分の部屋に戻りました。
何も考えられませんでした。自分の居場所が分からないように静かにしてた方が良い。ただ、そう思いました。
そのうち、「ただいまー。」と言う声が聞こえ、下で何かしてるようでした。
本当に母が帰ってきたんだ。
私は、恐る恐る1階に下りて行き、
「おかえり」と言いました。
いつもの母でした。
しかし、気になったので、

「ねえ、途中で1回、うちに戻ってき
てないよね?」と聞きました。
「え? 何で?
そんな事してないよ、何なの?」
確かに今までも、母が帰宅した時に、私がいなくても、母は大声で私の居場所などを聞くような事はしませんでしたし。
じゃあ、最初の声は一体誰だったのでしょうか?
そして、” 何処に居るのー?” とは…?
私は、あの時に、自分の居場所を答えていたら… と思うと、少しゾッとしました。

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