大学時代に、私は車を持っていなかったので、出先に向かう時、バスやタクシーを使っていました。
その日、ある停留所からバスに乗ったのですが、私が乗った瞬間に、バスの運転手が、あからさまに嫌な顔をしました。
私の他に乗客は、1人のお婆さんだけでした。
何か嫌だなぁと思いながらもバスは発車しました。
すると信号待ちの時に、運転手がバスの扉を全開にして、
「あんた、香水付けてる!?
その匂いが気持ち悪くてさ、吐きそう
なんだけど!?」
と、突然、罵声を浴びせられました。
えっ?
私は一瞬、声がでませんでした。香水などつけてません。
「あの…、何もつけてませんが…」
私がそう言っても、
運転手は、あんたが乗って来た時から、その匂いがするんだよ!
と、かなりお怒りです。
” どうしよう…、
もう次の停留所で降りようかな… ”
と、思っていると、
乗り合わせていたお婆さんが、チラッとこちらを見ました。
” え? この人からも文句? ”
そう思いながらドキドキしていると、そのお婆さんは、ニッコリと笑いました。
そして、次の停留所で降りて行きました。
” 良かったー、文句言われなくて ”
そう思いながら、運転手の事があるので、私も早く降りようと思い、荷物を手にして降車ボタンを押しました。
すると運転手が、話し掛けてきました。
「 申し訳ありません。
あの匂いは、お客さんではありません
でした。」
私が黙っていると、運転手が言いました。私がバスに乗ったと同時に、キツイ香水の匂いを感じた。それで、気持ち悪くなってしまった、と。
しかし先程から、その香水の匂いがしないと言うのです。
勿論、その前から乗っていたお婆さんが、キツイ香水をつけていたはずがありません。私が乗った時も、何の匂いもしませんでしたから。
私は運転手に、散々謝られた挙句、目的地までの料金はいらないと言われました。そして目的地で降車し、バスを後にしたのですが、何故だか、今の事が少しも気にはなりませんでした。
そう言えばこんな事があったなと思い、書き込みさせて頂きましたが、今となっても、全然気にもならないし、怖さも感じない。でも、不可思議な体験でした。
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