私は、大学受験の勉強に向けて、自分の部屋で勉強していました。
私は勉強中に、微かな物音も気になるタイプでしたので、居間のテレビがうるさいと、文句を言うくらいでした。
ある日、いつもの様に勉強していると、
部屋の中から、
ミシッ、ミシッと音がします。
母からは、
「 この家は古いから、湿気で家鳴りが
するのよ 」
と言われてたので、気にも止めませんでした。
しかしそのうち、その家鳴りは、私の座っている勉強机の左から聞こえてきている事が分かりました。
私の家は古く、全室、畳です。
うるさいなぁと思いながらも勉強していたのですが、微かな物音も気になる私です。苛立ちながら左の方を見ました。
その時、私は声が出ませんでした。
見えない誰かが、畳の上を歩いているのです。それは、畳の軋む音と、人間くらいの重さが乗っている畳の沈み具合で分かりました。
2歩、3歩、私の横を、それは歩いて行きます。私はただ、黙ったまま、見つめる事しか出来ませんでした。
そして壁まで来ると、それは消えました。
歩いて行った後の畳を見ても、何一つ変わりはありません。
ただ、私はその後、実家に帰っても、
それが歩いた辺りの畳を踏まない様にしてます。
今は弟の部屋になっています。
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