私がまだ小学4年生くらいの話です。
私は当時スポーツ少年団に所属しており、いつもは学校の体育館で練習をするんですが、その日は近くの市民体育館を利用して練習していました。
途中で水分を摂るための休憩に入り、水をがぶ飲みした私。
不意にお手洗いに行きたくなってしまいました…。
でも、やはり夜だということと、無駄に広い廊下を1人で歩くということが何よりも恐ろしく、それでいてお手洗いに行くということを恥ずかしく思っており、なかなか1歩を踏み出せないでいました。
すると、ひとつ上の先輩がするりと音もなくドアを開け、お手洗いに行くではありませんか！
これなら行きたくない理由を全て押えている！行ける！と思い、意気揚々とお手洗いに向かいました。
すると…おかしいのです。
私のほんの数秒前に出たはずのその先輩が、お手洗いに着いても見当たらないのです。
その体育館のお手洗いは、入ると、あわせ鏡になった大きな洗面所があり、そこを抜けると両手側にたくさんお手洗いがある、という作りでした。
しかも、体育館から出て、お手洗いまで一直線。
2階にもお手洗いはあるにはあるのですが…数秒で行ける距離に階段がありません。
….なのに当時の私は楽観的に考え、｢きっと入れ違いになったんだ！｣と急いで戻りました。
練習が始まるまで少し時間があったため、そのことが気になったので先輩に聞いてみたのです。
すると…なんて返されたと思います？
｢お手洗いなんて行ってないよ？｣
……それでも私は確かに、確かに見たのです。
自分と全く同じジャージと、先輩の特徴的な真っ黒の髪の毛…
もうあの出来事から6年以上経ちますし…記憶が曖昧になってきているんですが、それだけははっきりと覚えております。
あの後ろ姿は誰だったんでしょうか。
そもそも私はなにをみたのでしょうか。
コメント